2008年12月22日月曜日

少雪(ちょっと遅いだけかも...)

もうクリスマスだというのに雪が降ってくれません。奥志賀でもこのように、岩菅山はまだ白くなっておらず、調子がくるいます。スキー場は人工雪のおかげもあってか、隣の焼額山でもゴンドラを2台とも動かして、そこそこダウンヒルが楽しめる状態ですし、熊の湯はほぼ全面スキー可になっていますが、西館山などはほとんど白いところがないありさまでした。今週は雪の予報が続くので、年末に向けて期待したいところです。

2008年12月10日水曜日

スキーマップル2009

昨今は、スキー場が閉鎖になったり、経営が変わって名前が変わったりすることが多い(ひだ舟山スノーリゾートアルコピア?スターシュプール緑風リゾートひだ流葉?、長すぎ)ので、このごろあまり買っていなかったスキー場ガイド本を一冊買ってみた。本屋の旅行ガイドコーナーでよく平積みになっているいわゆるMook本のような体裁で、表紙には蛍光色のでかい文字がこれでもかと踊っているケバイ表紙だが、中味は意外に硬派だった。まず、さすがに地図の昭文社刊だけに地図がきれいだ。主要スキー場にはゲレンデの設計図を元に作成したという、正確なゲレンデマップが載っている。巻末の道路地図はそれぞれのスキー場の位置が見やすく表示されている。なにより印象的なのは、数値データの豊富さと、実地に取材をした成果と思われる客観的な評価記事だ。個々のスキー場については、webページで最新の情報がすぐに集められるが、その情報はどうしても「宣伝」なので良いことばかりが強調され、スキー場どうしを比較するのは難しい。そのような時代に必要とされるのは客観的なデータと評価だということを明確に意識して編集されていると感じる。アマゾンのページはここ
(追記)年末に行こうと思っている秋田県の阿仁スキー場が載ってないのはカナシイ。経営母体がいろいろ変わって毎年存続が危ぶまれているのでしかたないのかもしれないが、載ってないことでお客が減る可能性もある。ガイドブックも責任が重いです。

2008年12月4日木曜日

TAJの保険

長らくTAJ会員のメリットとして宣伝していた団体保険が、今年度はリニューアルしています。いろいろ見直してもらったそうで、年間5千円からとお安くなったのですが、保障の対象となる山行スタイルに制限があるので要注意です。このような保険では、ふつう、ハイキングが対象のものと、山岳登攀が対象のものとが、はっきり分かれています。前者は基本的に雪のない登山道を歩く人用のもので、後者は岩や雪の山岳部的「登山」の世界が対象です。何か事故があったときに救助や捜索にかかる費用を保障する項目は、前者では「救援者費用」、後者では「遭難捜索費用」と表現されます。で、TAJの保険ではこれが「救援者費用」となっています。どうも、掛け金からみても、今年からのTAJの保険は、ハイキング用保険がベースになっているように思えます。チラシには、アイゼン・ピッケル等を使う場合でもスキーが目的ならカバーするというように書いてありますが、構造的に無理があるように思えますし、このブログで紹介しているような山行はカバーしてくれそうにないので、私は別の保険を探すことにしました。よほど整備されたポピュラーなツアーコースをたどるようなツアーでないと、カバーされるのは難しいように思います。ちなみに参考にしたのは、これとかこれです。

2008年12月2日火曜日

今年最後の立山

今年はおきまりの勤労感謝連休に行けなかったので、月末ぎりぎりに行ってみた。アルペンルートは11月末までの営業。今年は雪が早く、既に富山側からは室堂にたどり着けなくなっていた。パッとしない天気予報だったが、土曜日朝は快晴。文字通り雲一つない。稜線は雪煙があがっているが、それほど風も強くない。見渡す山々はもう真っ白で、昨日までの風で雪の表面は美しい風紋を見せている。まずは室堂山を登ってカルデラ展望台から槍穂を遠望し、国見山との間の谷を一滑り。深くはないが快適なパウダー。僕たちのような細板派にはちょうど良い。ラッセルも足首程度なので距離もかせげる。室堂に戻って今度は山崎カールをめざす。
一ノ越からトラバースする人も多いが、あまり気にせず、室堂山荘から直線的にアプローチ。一旦くだるが、たいしたことはない。まっさらの雪面にまっすぐなトレースを刻みながら、誰も入っていない山塊に切り込んでいくのは格別だ。カールの中では、稜線を去来する雲にディフューズされた光が、真っ白な雪の平面を照らして幻想的。雷鳥沢までの下りは結構長く、雪質が悪いときには疲れることも多いが、今回は最後まで快適だった。
最後の仕上げで別山乗越方面の尾根に適当にとりつくが、まるで「時間切れ」というふうに、さっきまでの快晴から一転して曇り空となったので、1/3ほどのところで切り上げて最後の滑降を楽しんだ。調子に乗ってあちこち駆け回ったため、さすがにシーズン初めは体が慣れていないので、その後筋肉痛に悩まされてしまったが、天の恵みというべき素晴らしい一日だった。

2008年10月1日水曜日

初雪の立山

立山へのアクセスはアルペンルートが一般的だが、歩いて往復するとそのスケールがもっとよくわかるのではないかと考えた。富山側の称名の滝から大日平に上がって、大日岳、奥大日岳を経由して室堂に入り、帰りは弥陀ヶ原をゆるゆると歩いて、八郎坂を駆け下りて称名滝に戻るという周回コースだ。先日、鍬崎山に登って、弥陀ヶ原やカルデラの様子を面白く眺めた。そのときに、大日平と弥陀ヶ原は、称名川の深い谷で切り分けられているけれど、本来ひとつながりの平面なのだなぁと思った。そんな様子が現地ではどのように見えるか、楽しみだった。
雨の予報の金曜日となったが、なんとか大日平山荘まで入れば、翌日からは天気も回復して縦走できるだろうという見通しだったが、立山ICを降りて走っていく途中に現れた表示盤には、「大雨のため称名道路通行止め」。雨の中を1時間余りも車道を歩いていく気にもならず、計画を変更してバスで室堂まで上がることにした。余った時間に、立山カルデラ砂防博物館で砂防事業のいろいろを勉強する。「鳶崩れ」など断片的には聞いていたが全体像がよくわかった。
予報天気図では、低気圧が通過した後、冬型っぽい気圧配置になりそうだったので、少しは雪がちらつくかなと思っていたが、翌朝は、あたり一面銀世界となっていて驚く。あまりしっかりした装備はないが、ともかく雷鳥坂を登って別山乗越へ。スキーでは何度も上り下りする斜面だが、考えてみると登山道を歩くのは初めてだった。こんなところに道がついていたのか、などと感心しながら歩く。途中は少し汗ばむぐらいだったが、稜線に近づくと冷たい風が吹き始め、剣御前小屋に飛び込んでホットコーヒーを注文する。あまりの寒さに立山縦走は却下して別山往復にとどめることにした。降りたての冷たい雪は乾いていて滑ることはなく、そういう不安はあまりないが、なにせMontrailの軽い靴なのでかなり場違いだった。雷鳥坂を下る頃には景色から白い色がずいぶん少なくなってしまった。ほんのひとときだったが、また雪の季節がくるなと、楽しい気分を味わわせてもらった。
最終日は大日の連山を眺めながら弥陀ヶ原まで歩く。予定では秋晴れの気持ちよい日になるはずだったが、どんよりとして寒い風が吹く日となった。弥陀ヶ原の広さや、一ノ谷のけわしさを楽しみながら、松尾峠の展望台でカルデラを眺めたらもう満足してしまって、あとはバスで下山した。大日平山荘がすぐそこに見えているのが面白かった。

2008年8月4日月曜日

鍬崎山

アルペンルートのバスに乗ると必ず聞かされるのが、佐々成政のザラ峠越えと、鍬崎山の埋蔵金の話だ。弥陀ヶ原の隣にある鍬崎山に、8月の暑い中、登ってみた。アプローチは雷鳥バレースキー場のゴンドラリフト。途中で出会う人で、山っぽい格好の人はたいてい「いや、私はゴンドラなんぞは乗らずに下から歩いて来ましたよ。。」という言い方だったので、地元ではゴンドラを使うのはかなり反則らしい。しかし、ゴンドラを使っても鍬崎山へは距離、標高差ともに日帰りとしては相当ハードな行程だった。この程度の標高ではちっとも涼しくないし。
しかし山頂からの眺めは、今まで見たことのない角度から弥陀ヶ原と立山を見せてくれた。特に弥陀ヶ原のボリューム感がすごい。大日平と一続きの斜面であることもよくわかった。写真の真ん中あたりが松尾峠だが、立山温泉と松尾峠を大雪の中で行き来するのはさぞ大変だったろうなと思わせるような急斜面だった。(後日記載)

2008年6月23日月曜日

静岡の印象

いつも通り過ぎるばかりの静岡の街を、すこし散策してみた。まずは、静岡駅を探索の起点とすることにして、駅前の駐車場に入る。エキパという新しい地下駐車場で、驚いたことに全自動で車が格納・出庫される仕組み。タワーパーキングなどではあるが、これほど大規模なものは初めて見た。ゲートで待っていると、A−Dのどの入り口に入ればいいか指示が出て、そこに入ると後はしずしずと車がどこかへ運ばれていく。出すときは読み取り機に駐車券を入れて出庫予約すると、しばらくしてどこからか運ばれてくる(写真は、前の人の車が出てきた様子)。混雑時にどれほどスムーズにさばけるのかちょっと心配だが、なかなかスマートな仕組みだ。


駅コンコース南端の案内所でパンフ、地図などを物色し、呉服町商店街、浅間神社、県庁21階展望室をピックアップした。呉服町は昼食時ということもあって、なかなかにぎわっている。好日山荘を見かけてチェックするが、富士山と南アルプスを背負う町の店だけあって、かなり充実した品揃え。静岡銀行本店の重厚な建物が良い。中に入るとお客様用防災ヘルメットが棚にずらりと並んでいるのが印象的だった。呉服町の端あたりから、浅間神社の参道が始まる。豊川稲荷の参道を思い出させる、しぶい店が並んでいる。参道にある山田長政の記念の像に、タイ風らしいカラフルな飾り付けがしてあるのがおもしろい(写真)。どうも静岡の人は、少なくとも愛知県人よりも自転車を実用的に使っている。服装や雰囲気からしてそれなりのステータスを感じるおじさま・おばさまたちが、ささっと自転車で行き来している様子がたいへん良い。

浅間神社は、故京山幸枝若さんの浪曲の「大関御所桜仙之助」に出てくるので名前は知っていたが行くのは初めて。黒と朱を多用した大きな社殿に、日光東照宮と同様な趣向のカラフルな装飾が施され、たいへん立派だ(写真は八千戈神社)。お祭りのさかんな様子もおもしろい。お祭りの舞台の百段を登って麓山神社を通り過ぎて道は尾根上を続いていくが、きりがないので適当なところで引き返す。地図で見ると10kmあまり北の竜爪山までまっすぐに尾根が続いている。尾根の末端に古墳があり、大昔からそういう雰囲気の場所なのだと納得する。最後に行った県庁21階だが、その下は県警本部と公安委員会が入っていて、エレベーターも観光用があるわけではないので、たいへん雰囲気が固い。展望室もただがらんとしている。しかし眺めは良かった。静鉄の新静岡あたりが下町らしいので通ってみる。バスと私鉄の駅が地下の商店街で結ばれている様子がおもしろかった。「しぞーか」名物のおでんがいい匂い。

全体に、最近の大都市のように、商業化、デザイン化されすぎていない落ち着いた風情が好ましい街だと思った。まだ「大人」が文化を支えているとでもいうか。また機会を作って訪ねてみたい。

2008年5月28日水曜日

トプコン

東京光学(現・トプコン)は日本光学(現・ニコン)と並んで光学機器軍需産業の雄。会社が板橋区志村坂上にあるのでシムラー(Simlar)なんてライカマウントレンズも作っていた。これは戦後の代表作、トプコンREスーパーのアメリカバージョンSuper Dだ。Beselerという会社経由で売られたので、その名前がペンタ部に刻まれている。元々アメリカ向けにデザインされただけに、堂々とした押し出し、直方体を組み合わせたようなガッチリとしたデザインがアメリカ人の手によく似合いそうだ。シャッター音も堂々たるものだが、余韻がすこし長く、空洞の中でバネの残響がバチーンと続くところが、イマイチ精密感を削ぐ。Exaktaマウントを採用しているので当時多く出回ったドイツのExakta用交換レンズが使える。

ルミックスとVPK

もう手元にはないデジカメだが、最初に買ったルミックス、FX8。これを最初に手に取ったときに、何か記憶にある形だなと思い出したのが後ろに置いてあるVest Pocket Kodak(略称VPK)だ。フタを開くと、下敷きになっている取説の絵のようになるいわゆるジャバラカメラだ。時代も仕組みも全く違うが、手に収まりのいい形を探すと、同じようなところに落ち着くらしい。このVPKは、Model Bというもので、マロリーがエベレスト登山に持って行ったのがこのタイプと言われている。マロリーは帰らぬ人となったので、エベレストのどこかにこれと同じのが冷凍保存されているのかもしれない。谷口ジロー作画の「神々の山嶺」にも出てくるが、だいぶ大きく書かれている。実物はルミックス並みに小さい。カメラとしての性能は、写るんです並でシャッター押すだけ。歴史的登頂の記録用としては、あんまり簡単なカメラのように思うが、軽さを重視して選んだのかもしれない。

2008年5月26日月曜日

三度目の位ヶ原山荘

 今シーズン3泊目となった位ヶ原山荘。一回目は鳥居尾根をラッセルで登った。二回目はゲレンデトップからのツアーコースを登った。三回目は山荘前までバスで来ることができた。今までは何度もつづら折れが続くばかりで、面白みのなかったバスの車窓も、一回目の記憶をたどると、この辺はラッセルが深かったなぁとか、この辺で行方不明者と合流したなとか、楽しめた。雪質も回を追うごとに、パウダー、シュカブラ、ザラメと変化した。今回は、行動ができたのは、登った日の12時半までで、その後はザンザン降り。同宿のガイドツアーの皆さんの宴会をラジオ代わりに聞きながらこたつでウトウト。前2回は、グループで泊まり合わせたので、つい宴会がはずんで晩飯の鹿ナベもおぼろげにしか記憶していなかったが、今回はしみじみと味わうことができた。

 冬は閉じられていたバス停側の玄関は、もちろんオープンしているが、スキーの持ち込みは前と同じく裏の入り口から。今まで、周りの雪を掘り下げた位置にあったのだが、今回は写真のように階段を上って入る。周りに雪があるのは同じだが、雪の深さはこんなに変わっているのだと思い知らされる。山荘の水源はまだ雪に埋まっているらしく、蛇口をひねってもまだ水はでないが、生ビールが飲めるようになったのは大きな変化だった。

2008年4月21日月曜日

マイアから登る御嶽

 木曽の御嶽周辺のスキー場の中で、マイアは唯一スキー場からの登山を認めていない。したがってマイアの真上にそびえる継子岳に登るには、スキー場が営業終了してから雪が消えるまでの間に、自力で登るしかない。今回は、マイアにほど近いロッジ上天気のあるじテラモト氏を誘って、この未知のエリアに潜入してみた。
 一時間半かけてゲレンデトップまで登り、針葉樹林帯に突入。樹間のほどほどに開いた森を登って、ダケカバが点在する森林限界(写真)、さらにその上はハイマツ帯(今回はほとんど雪の下に隠れていたが)という組み合わせは、御嶽の他のルートでも乗鞍でも似たようなものだが、このルートではどこも傾斜が2倍ぐらいある感じ。気温が高く、シール登高をすると表面の雪がずれて不安定なので、森林限界の上ではアイゼンでの直登に切り替えて、継子岳の南東のピークに登り着く。
 ちょうど滑りだそうとしたときに、頂上部がガスにおおわれていて、継子岳との鞍部から適当に滑り出したら、二本あるうちの北側のルンゼだった。かなりグサグサのスキーを取られる感じの軟雪なので、滑落の心配はないが楽しい滑りではない。途中で右手の南側のルンゼに入ったら、日当たりが少ないせいかよほど滑りやすかった。ルンゼをそのまま滑る報告が多いが、妙に気温の高い状況で(山頂でも10℃あった)狭いルンゼにおりていくのがなんとなくいやで、早々に登りの尾根にもどった(写真)。登りでところどころに付けた赤テープを回収しながら、重雪の樹林をボチボチと滑り、ゲレンデを快走してボトムに3時に帰着。7時間の行動だった。
 振り返ると、山頂部のシュプール(というか雪の崩れたあと)が意外に大きく見える。雪の山を駆け回れるスキーという道具に感謝。スキー登山という文化を伝えてくれた先人に感謝。

2008年4月7日月曜日

乗鞍、そして平湯へ

3月初めに訪れた位ヶ原山荘にぜひまたもう一度と思い、ムースツアーに合わせて出かけた。休暇村リフトが一本だけ動くという非常に中途半端な状態なので、登る人も少なめで山荘も空いていて快適だった。ゲレンデトップからツアーコースを辿ると、山頂付近は雪煙があがっていて、風の強さを思わせる。勝手知ったる道のりを、切り開き、位ヶ原、シュカブラ帯とたどる。位ヶ原から風が強まり、手が冷たい。肩の小屋の手前でスキーアイゼンを装着し、シュカブラの海をジグザグとこなして山頂をめざした。稜線に出ると(写真)一段と強い風が吹き、あげた右スキーをおろすときにあおられて、つい左スキーを踏んでしまうぐらいだ。だが山頂近くはかえって風がおさまり、山頂までスキーアイゼンのまま登ることができた。山頂直下のルンゼはエッジのかかるほどほどの堅さで気持ちよく滑れた。昔はもっと急だと思ったものだが。小屋ではムースツアーのお客さんたちや、ガイドとして来た古い仲間と楽しく過ごす。

翌日も晴天。しかも風も弱そう。平湯まで長距離をこなす絶好のチャンスだ。まず大黒岳を目指して谷筋を登り、山頂の絶景を楽しんでから、真っ平らな桔梗ヶ原(実はシュカブラの海)を北上し、四ッ岳を目指す。平湯からだと1450mの登りだが南側はわずか200mで山頂だ。意外にのんびりした山頂で何一つ遮るもののない眺めを楽しむ。下りは、真北の窪地から左に出てオープンバーン(写真)から浅いルンゼに入るスタンダードなコース取り。ダケカバ帯にさしかかる頃からウインドパックの若干ターンしにくい雪になる。樹林帯のやや重いパウダーを滑り、斜度が落ちるころにはかなり腐った雪となる。先週予習した徒渉地点をわたり、最後の谷筋の急斜面を滑るころには疲れと雪の重さで斜滑降キックターンとなったが、1時には平湯キャンプ場に降り立つことができた。位ヶ原山荘の積雪期営業を活かしたダイナミックで比較的楽なプランだ。天候が悪くなれば四ッ岳から乗鞍に引き返すのも可能だ。こういうのいかがですか。

2008年4月1日火曜日

平湯再訪

 2月には寒気と重深雪でエライ目にあった平湯だが、わるいイメージを残したくないのでリベンジを図った。まずは基本の金山岩へと平湯温泉スキー場に8時前に到着したのはいいが、駐車場のおっちゃんの言うには、雪が少ないところがあるので、上の第2リフトは動かしていないみたいだよ。いろいろ思いが脳裏をめぐったが、ゲレンデを登ることにした。このところこういうケースが多い(このときのドサクサでカメラを入れ忘れて今回は写真なし)。
 知った顔もまじったテレマーカー3人組と前後して、第2リフト分の標高差350mの登りから始める。足首ぐらいの軽い雪のラッセルだ。旧ゲレンデ(地形図にはリフト記号が残っているが現在は撤去済み)を詰めて尾根に入る。当然先行者なし。トレースをたどった前回は複雑そうな地形だと思ったが、ラッセルしてみるとそれほどでもない。高いところはガスっていて見通しは効かないが、まずまずの天気。カモシカの足跡と交錯しながら淡々と尾根をたどる。しだいに傾斜が急になる針葉樹林を抜けて行くと、平坦地に出た。前回の到達地点だ。頂上手前の門番のような岩壁がかすかに見える。もう1時過ぎなので、前回の轍を踏まないように、今回は素直にスキー場に戻ることにして、視界は効かないが山頂には登っておこうとスキーアイゼンを装着。シールだけだと表面の柔らかい雪がずれるのと一緒に流されてしまうが、スキーアイゼンをつけていると、その下の堅い雪にささって踏みこたえることができる。もう少し堅いと取り付け金具に体重がかかってしまうところだが、ちょうどよいぎりぎりの堅さだった。山頂は岩がごろごろしている。展望のあるときにまた是非来たい。
 ガスが濃くなった中を、GPSで確認しながら慎重に登路をもどる。樹林帯に入ると、けっこう快適なパウダーだ。どこまで下っても3人組の姿は見えない。ゲレンデトップで引き返したようだ。体調でも悪かったのかな。出だしの尾根の平坦なところは巻き道もややこしそうなので、素直にシールを貼る。ゲレンデが意外と滑りにくかったが、4時には無事レストハウス到着。柱や梁が太いなかなか立派な建物で、コーヒーとフライドポテトで一休み。じゃがいもをざっくり切って揚げた正しい「チップス」だった。

2008年3月25日火曜日

妙高山、視界良好

妙高周辺では、三田原山や前山は何度も行っているが、いつも目にしながら登ろうと思わなかった妙高山に登ってみた。杉の原から三田原に登り、外輪山の中に滑り込んで対面を妙高山に駆け上がり、下りは滝沢尾根を経由して赤倉観光リゾートスキー場におりてくるプランだ。今年は、杉の原スキー場の一番上のリフトが営業停止で、三田原に登るにはふだんより400m余分に登らないといけない。例年だとこの季節には行列ができるぐらいスキーツアーの人がつめかけるが、今年はちょっとは空いているかなと思ったら、ガラガラ。三田原に登る間に2,3パーティーを見かけた程度だった。外輪山の北面は固めだがまずまず。写真の中央から少し右がわの白い斜面が山頂まで続いているところを登った。先週、平地では雨だったところが雪だったらしく、堅くしまったザラメの上に10cmぐらいの湿雪が乗っている。おかげで山は真っ白できれいだが、登る分には湿雪がずれてシール登高は不可。中腹からはアイゼンで直登した。

登り付いた山頂部は公園のようにのんびりした地形だ。写真ははるかに見下ろす前山。山頂部がチョンと尖っているのがかわいい。南には富士山がかすんで見え、北の海の向こうには佐渡の白い山も見える。くだりは登路を途中まで下ったが、予想通り湿雪の層を派手に落としながらの下りとなった。本日は後続組もおらず、人に迷惑をかけずに済んだ。中腹からは尾根にトラバースし、大谷ヒュッテをかすめて滝沢尾根に滑り込んだが、尾根は重いべとべと雪が延々と続いて、もう下りはいいよ、という感じだった。滝沢をわたる所まで、山頂から標高差1500m。たいへんダイナミックだが疲れるダウンヒルだった。

2008年3月18日火曜日

テレフェス2008

 今年のテレフェスは天候にめぐまれ、土曜のオリエンテーリングも日曜の根子岳ツアーも皆さんの笑顔の内に終えることができた。写真はペンションふくながの前のスキー置き場にならんだ今回参加の皆さんの板。わざと選んできている人も多そうだが、現代のトレンドと比べるとあきらかに細身の板ばかり。このあたり、T.M.N.に集う皆さんの文化程度の高さとこだわりぶりがうかがえる。T.M.N.って、あるいはモッチって、やはりオーソドックスなテレマークの在り方を大切にしているのだなと、あらためて思った。今年のオリエンテーリングは一人ずつの出走となったため、それぞれの好みに合わせてマイペースで楽しんでもらえたようだ。なかなかポイントが見つからないのでなんどもリフトに乗ったという人もいた。ほとんどの設問を4択にしたために、ポイントに行かずに適当に番号を書くのを防ぐために(もちろんそんな人はいないと思うのだが)、質問に書き添えたキーワードも書き写してもらった。が、後で考えると、4択の選択肢の記号をアイウとかABCとか(i)(ii)(iii)とか、一問ずつバラバラにすればいいのだった。

 日曜日は朝から快晴で、これは汗だくツアーになりそうじゃわいと思いの外、意外に山頂に近づくと雲行き怪しくなり、下界では雨も降っているところもありそう。北の妙高連山方面が晴れているのを心の支えに登り続けたが、下山する頃にはまた気持ちよく晴れ上がってくれた。風力発電予定地に建てられた風況塔にマーキング。GPSで、ですが。発電機はエコかもしれないが、設備とそれを作るための道路やらなにやらで、根子岳は傷だらけになってしまうだろう。決して、観光名所にはならないと思いますな。(このあと建設は中止になりました。後記)根子岳ツアーの帰りつくところは、毎回いろいろバリエーションがあるが、今回は、イエローラインをかすめて、マゼンタライン終点付近に出るという、なかなか渋いライン取りだった。望月さん、10年間ご苦労様でした。そして。。。

2008年3月11日火曜日

GPS version up

 小型で気に入っていたForetrexだが、アルカリ電池を使うようにしても、ときどき記録が暴れることがある。先日の金山岩でも、肝心の谷を滑り降りているところでしばらくメチャメチャな記録になっており、頼りにならない道具ではどうしようもないので、GPSを新調することにした。Foretrexをもう一台とも思ったが、eTrexのGPS素子が高感度化してeTrex Hになっているのに、Foretrexは従来のままらしいので、少し大きいのだがeTrex Hを買ってみた(図の左がeTrex、右がeTrex H)。値段も安い。裏ヒヨで使ってみて、その精度の良さに驚いた。今までの機種では、ツアーの途中で何度か記録がとぎれたり、測定誤差で軌跡に所々ギザギザのノイズが入るのが普通だったが、eTrex Hでは最初から最後まで全くとぎれやノイズのない軌跡を描いていた。裏ヒヨの地形が比較的なだらかなせいもあるだろうが、今後のツアーの楽しみがひとつできた。記録容量も増えているし、外見は変えずに中味をぐんとバージョンアップという、シヴイことをしてくれるGARMINである。これいいよ、フジタくん。
 (後記:感度はいいのだが、ときどき電源が勝手に切れてしまう病は、先代から改善されず。先代では自転車につけて振動したときに切れる程度だったが、eTrex Hではザックに入れてスキーをしているだけで切れている時がある。電池ケースのフタの内側にクッション材を付けて電池が安定に保持されるようにすると治まったが、電極の構造がいいかげんなせいのようだ。こういうところは改良してほしい。)

てれまくり

 今回で2回目の「てれまくり」。昨年は急な用事でキャンセルしてしまったが、今年は参加することができた。カラファテの北田さんが中心となって、ライダー、メーカー、スキーヤー、みんな集まれというイベント。ご覧のように白馬乗鞍のゲレンデの真ん中に商店街が出現したような有様だった。ミニレースやコンテストなどのイベントもあったが、その辺をブラブラしているだけでも、知り合いにあって近況を聞いたり、面白そうなギアやウェアを手にとって説明を聞いたりできて楽しい。参加者は400名以上とかで、すぐに試乗板もあらかた出払ってしまったが、運良くNTNビンディングを試すことができた。従来の角張ったつま先をやめてスキー靴や登山靴のつま先と同じ形にするとともに、かかとではなく土踏まずのあたりで引っかける形式のビンディングだ。要するに短いケーブルビンディング(O2みたいに足の下にバネがあるタイプの)とも言えるが、この方がセーフティーリリース機構が組み込みやすいらしい。
 試した機種は北米などで既に市販されているものだが、バネが猛烈に固くてかかとをあげるのに苦労した。先日の山田星人ワンポイントレッスンで、「かかとをあげるというのではなく後ろ足に体重を預ける感じ」という考え方を聞いたのを思いだして、やってみるとなんとかテレマークらしいターンができた。ふだんは、ブーツがはずれなければいい、程度で使っているので感覚は全く違う。将来的には柔らかいバネの機種も出るそうで、更に軽量化もしてくれれば、山で使う気になるかもしれない。現在の角張ったつま先はキックステップなどで不利なので、方向性としてはわるくないと思う。スタッフによるたいまつ滑走で始まったパーティーは、満員電車なみのすし詰めだったが、活気があって良かった。これからも長く続くイベントに育ってほしいと思う。

ツアーいくつか

冬季営業中の位ヶ原山荘に敬意を表して仲間を募って一泊ツアーをした。初日は吹雪で、リフトの止まった鳥居尾根ゲレンデをシールで登り、鳥居尾根コースをたどった。ほどほどの間隔の大木の中を静かに進んでいく。途中からはラッセルが深くなったが、9人もいるので楽々。2時頃につららをぶら下げながら山荘到着。いつもは春スキーのバスの終点としか思っていなかったが、中に入ってみるとたいへん立派な建物だ。柱も太い。清潔な部屋とりっぱな食事は山小屋というより旅館レベル。翌日は快晴となり、風は冷たいが景色良し。摩利支天と富士見の間の広い尾根をまず一滑りする。乗鞍に登らないと、乗鞍がよく見えるのかと納得。北風から微妙に陰になっているせいか、尾根上なのにパウダーが楽しめた。まるでゲレンデ。登り返して隣の大沢をくだる。ビデオ撮影付きなので気合いが入る(YouTube1YouTube2)。板はDiranを使ったが、高速パウダーはたいへん快適ながら、下部のパックスノーでの小技はちょっと効かせにくい感じで、何度も雪まみれになってしまった。研鑽を要す。

次いで、白馬乗鞍での「てれまくり」イベントに参加した翌日、栂池にタクシーで移動して「裏ヒヨ」を滑った。最近人気のエリアらしく、トラックがしっかりついていて、登りは楽々。北斜面では良い感じのパウダーが楽しめた。登り返した1598mピークあたりの稜線からは、後立山連峰と妙高、乙妻・高妻あたりがぐるりと見渡せた。最後はてれまくり会場を見下ろしながら尾根づたいにゲレンデに帰着。これも何一つ、いうことなしのツアーだった。このときは8611 Summitを使ったが、たわみやすい分、パウダーでやや足をとられる気がした。このところずっとツアーといえばSummitだったがDiranと併用すると違いが感じられてなかなかおもしろい。今後も比較して見たい。

2008年2月18日月曜日

反省すべき点多し

 冬型の気圧配置が連続した中、平湯スキー場トップから金山というこの地域では比較的ポピュラーなルートをたどってみた。リフトトップからはきっちりしたトレースが伸びていて、推定2人パーティー+3人パーティーの先行者あり。気温が大変低く、手袋を通して寒気がしみてくる。出だしはあまり標高差のない森の中を、ウネウネと登っている。トレースがないと適切なライン取りは難しそうだ。出発が遅かったわりに、トレースに助けられて山頂の金山岩を望むところまで登ることができた。
 登った尾根をそのままおりるのも、あまり標高差がなく登り返しもありそうでつまらないかと思い、つい1月の山gorogoroさんの記録が頭をよぎって、登った尾根の東の尾根を滑って安房平を目指そうと思ったのが間違いの始まり。山goroさんの時と違ってねっとりと重く深い雪がスキーをとらえて、つい谷に滑りこんでしまったり、コースを修正しようとシールを貼ろうとしても、低温のせいでシールがうまく張り付かなかったりで、安房平におりるのに苦労する。旧道に出たときには既に薄暗くなっていたが、ともかくこれからは道をヘッドランプで辿ればおりられると一安心。しかし、平湯温泉までの道は4キロあまりだがトレースがないためにスキーで滑るほどの傾斜もなさそうだ。何度もシールをはがして試してみたい誘惑にかられたが、糊が利かずガムテープで辛うじて止めてある状態なので一旦はがすと元に戻すのも大変そう。結局、シールを貼ったまま最後まで林道をラッセルした。カシミールでプリントした地図には旧道の全体が入っていなかったので、一旦近づいた温泉の黄色い街路灯がどんどん遠ざかるまでトラバースが続いたときには、どこまで行くのかと心細かった。ようやく除雪された部分に出てシールをはがして温泉街に滑り込んだときには、人里のありがたさが身にしみた。北ア高所の厳冬期の寒さと雪質に、装備と心構えが対応しきれていなかったように思う。反省点としたい。

2008年2月4日月曜日

クラシックツアールート

志賀高原のクラシックツアールートを探勝してみた。まずは、横手山を越えて草津へおりるルートの途中の芳ヶ平までを、渋峠から往復。クラシックには、渋峠から夏道沿いに幅広い尾根を緩やかにおりるのだが、せっかくのパフパフがもったいないので、車道をしばらく辿って木のない谷をやりすごして、尾根筋を滑る。低温保存されたヒザぐらいの深さの粉雪がたいへん良い。あっというまに芳ヶ平の一角におりてしまい、シールをつけて平地を横断。芳ヶ平ヒュッテでカフェラテをいただきながらしばし歓談を楽しむ。あんまりくつろぎすぎて、お友達の家にいるような気になったのか、みんなお金を払うのを忘れて帰りかけてしまって、「あ、お金を。。」と呼び止められてしまった。帰りは黄色いフラッグを目印にしてクラシックルートをたどって渋峠に帰り着いた(図:左上に小さくヒュッテの屋根が見える)。午後は横手山スキー場からちょっとそれて、鉢山方面をめざしたが、時間が遅くなったため鉢山手前から前山スキー場にもどった。滑るにはすばらしいパフパフだが、ちょっと登るにもシールを貼らないとうまく登れず、シールを貼って歩いてばかりいたような感じだったが、志賀の深い自然を味わうことができた。最近ボチボチ出ている幅広のウロコ板を使うと快適なのだろうが、パーティーで道具がそろわないと行動がバラバラになってしまうので、なかなか導入できない。次回は鉢山、志賀山あたりを味わってみたい。宿は辻まことが愛用したという石の湯ロッジ。当時とはオーナーが変わっているようだが、ラウンジに並んでいる辻まことの本を開いて「横手山越え」を読むと感慨深いものがあった。ダイアモンドダストのハルミーナさま、お世話になりました。

2008年1月17日木曜日

スキー場であれこれ

 12月から1月にかけていくつかのスキー場で今シーズンのウォーミングアップを行ってきた。新規投入のマテリアルは、板がAtomicのDiran。先祖はTM22という名前のカービング板だけに、ビシッとした軌跡を刻んでくれる。「軽い」と言われているが、もっと軽いK2 8611 Summitに馴染んだ身としては、最初に持ったときは「重い」と思った。今季は169cmのみという変則的な販売だが自分としてはベストサイズだ。ツアーでのパーフォーマンスが楽しみ。靴はScarpa T3を更新。T2Xの丈の高さがだんだん鬱陶しくなってきて、ゲレンデでもT3を使うようになった。なかなか快適だ。これと、少し前のエンジ色のK2 World Pisteの組み合わせが、このところ妙に気に入っている。Diranの登場で、Super Stinxの使いどころが微妙になってきた。Diranに比べるとちょっと切り込み力が弱い感じ。ブーツは、紐締めインナーのT3を何シーズンか使ったので、サーモインナーのT3を新調した。
ここ数年、雪がドカドカ降りすぎたり降らなかったり、地域の片寄りがあったり、不順な年が続いたが、今季の雪の降り方は結構「優等生」ではないだろうか。正月といい、連休といい、ゴグルが手放せない日が多かったが、雪がないよりはずっといい。でも降っている割りには、軽いパフパフはあまり味わえず、重パフだったりすぐにクラストになったりだったように思う。立山でいい思いをし過ぎたせいもありそうだ。森林総研十日町試験地のグラフではまだ去年とどっこいどっこいみたいに見える。今後もう少し降り続けてもらいたいところだ。
写真は連休最終日の志賀高原・高天原。土日の吹雪の後で気持ちよく晴れたが、もうほとんどお客さんは残っていなかった、というようす。