2008年4月21日月曜日

マイアから登る御嶽

 木曽の御嶽周辺のスキー場の中で、マイアは唯一スキー場からの登山を認めていない。したがってマイアの真上にそびえる継子岳に登るには、スキー場が営業終了してから雪が消えるまでの間に、自力で登るしかない。今回は、マイアにほど近いロッジ上天気のあるじテラモト氏を誘って、この未知のエリアに潜入してみた。
 一時間半かけてゲレンデトップまで登り、針葉樹林帯に突入。樹間のほどほどに開いた森を登って、ダケカバが点在する森林限界(写真)、さらにその上はハイマツ帯(今回はほとんど雪の下に隠れていたが)という組み合わせは、御嶽の他のルートでも乗鞍でも似たようなものだが、このルートではどこも傾斜が2倍ぐらいある感じ。気温が高く、シール登高をすると表面の雪がずれて不安定なので、森林限界の上ではアイゼンでの直登に切り替えて、継子岳の南東のピークに登り着く。
 ちょうど滑りだそうとしたときに、頂上部がガスにおおわれていて、継子岳との鞍部から適当に滑り出したら、二本あるうちの北側のルンゼだった。かなりグサグサのスキーを取られる感じの軟雪なので、滑落の心配はないが楽しい滑りではない。途中で右手の南側のルンゼに入ったら、日当たりが少ないせいかよほど滑りやすかった。ルンゼをそのまま滑る報告が多いが、妙に気温の高い状況で(山頂でも10℃あった)狭いルンゼにおりていくのがなんとなくいやで、早々に登りの尾根にもどった(写真)。登りでところどころに付けた赤テープを回収しながら、重雪の樹林をボチボチと滑り、ゲレンデを快走してボトムに3時に帰着。7時間の行動だった。
 振り返ると、山頂部のシュプール(というか雪の崩れたあと)が意外に大きく見える。雪の山を駆け回れるスキーという道具に感謝。スキー登山という文化を伝えてくれた先人に感謝。

2008年4月7日月曜日

乗鞍、そして平湯へ

3月初めに訪れた位ヶ原山荘にぜひまたもう一度と思い、ムースツアーに合わせて出かけた。休暇村リフトが一本だけ動くという非常に中途半端な状態なので、登る人も少なめで山荘も空いていて快適だった。ゲレンデトップからツアーコースを辿ると、山頂付近は雪煙があがっていて、風の強さを思わせる。勝手知ったる道のりを、切り開き、位ヶ原、シュカブラ帯とたどる。位ヶ原から風が強まり、手が冷たい。肩の小屋の手前でスキーアイゼンを装着し、シュカブラの海をジグザグとこなして山頂をめざした。稜線に出ると(写真)一段と強い風が吹き、あげた右スキーをおろすときにあおられて、つい左スキーを踏んでしまうぐらいだ。だが山頂近くはかえって風がおさまり、山頂までスキーアイゼンのまま登ることができた。山頂直下のルンゼはエッジのかかるほどほどの堅さで気持ちよく滑れた。昔はもっと急だと思ったものだが。小屋ではムースツアーのお客さんたちや、ガイドとして来た古い仲間と楽しく過ごす。

翌日も晴天。しかも風も弱そう。平湯まで長距離をこなす絶好のチャンスだ。まず大黒岳を目指して谷筋を登り、山頂の絶景を楽しんでから、真っ平らな桔梗ヶ原(実はシュカブラの海)を北上し、四ッ岳を目指す。平湯からだと1450mの登りだが南側はわずか200mで山頂だ。意外にのんびりした山頂で何一つ遮るもののない眺めを楽しむ。下りは、真北の窪地から左に出てオープンバーン(写真)から浅いルンゼに入るスタンダードなコース取り。ダケカバ帯にさしかかる頃からウインドパックの若干ターンしにくい雪になる。樹林帯のやや重いパウダーを滑り、斜度が落ちるころにはかなり腐った雪となる。先週予習した徒渉地点をわたり、最後の谷筋の急斜面を滑るころには疲れと雪の重さで斜滑降キックターンとなったが、1時には平湯キャンプ場に降り立つことができた。位ヶ原山荘の積雪期営業を活かしたダイナミックで比較的楽なプランだ。天候が悪くなれば四ッ岳から乗鞍に引き返すのも可能だ。こういうのいかがですか。

2008年4月1日火曜日

平湯再訪

 2月には寒気と重深雪でエライ目にあった平湯だが、わるいイメージを残したくないのでリベンジを図った。まずは基本の金山岩へと平湯温泉スキー場に8時前に到着したのはいいが、駐車場のおっちゃんの言うには、雪が少ないところがあるので、上の第2リフトは動かしていないみたいだよ。いろいろ思いが脳裏をめぐったが、ゲレンデを登ることにした。このところこういうケースが多い(このときのドサクサでカメラを入れ忘れて今回は写真なし)。
 知った顔もまじったテレマーカー3人組と前後して、第2リフト分の標高差350mの登りから始める。足首ぐらいの軽い雪のラッセルだ。旧ゲレンデ(地形図にはリフト記号が残っているが現在は撤去済み)を詰めて尾根に入る。当然先行者なし。トレースをたどった前回は複雑そうな地形だと思ったが、ラッセルしてみるとそれほどでもない。高いところはガスっていて見通しは効かないが、まずまずの天気。カモシカの足跡と交錯しながら淡々と尾根をたどる。しだいに傾斜が急になる針葉樹林を抜けて行くと、平坦地に出た。前回の到達地点だ。頂上手前の門番のような岩壁がかすかに見える。もう1時過ぎなので、前回の轍を踏まないように、今回は素直にスキー場に戻ることにして、視界は効かないが山頂には登っておこうとスキーアイゼンを装着。シールだけだと表面の柔らかい雪がずれるのと一緒に流されてしまうが、スキーアイゼンをつけていると、その下の堅い雪にささって踏みこたえることができる。もう少し堅いと取り付け金具に体重がかかってしまうところだが、ちょうどよいぎりぎりの堅さだった。山頂は岩がごろごろしている。展望のあるときにまた是非来たい。
 ガスが濃くなった中を、GPSで確認しながら慎重に登路をもどる。樹林帯に入ると、けっこう快適なパウダーだ。どこまで下っても3人組の姿は見えない。ゲレンデトップで引き返したようだ。体調でも悪かったのかな。出だしの尾根の平坦なところは巻き道もややこしそうなので、素直にシールを貼る。ゲレンデが意外と滑りにくかったが、4時には無事レストハウス到着。柱や梁が太いなかなか立派な建物で、コーヒーとフライドポテトで一休み。じゃがいもをざっくり切って揚げた正しい「チップス」だった。