2014年12月1日月曜日

晩秋のしなの

 前に一度行ったけど、宝物殿を見そびれたのでまた立ち寄った「元善光寺」(写真は裏手の紅葉)。善光寺の本尊の阿弥陀三尊像を本多善光が難波の堀江から拾い上げて、まずこの寺で41年間お祀りしてから、またお告げを受けて長野の善光寺に運んだ、ということになっている。阿弥陀像はこの寺では木の臼(宝物殿にある)の上に座していたのだが、この臼が光を放ったというので座光寺という地名にもなった(座光寺PA)。最近ではリニア新幹線の駅の予定地が、飯田線元善光寺駅付近と言われて有名になった。宝物殿は地獄絵図がこわい。雪舟の寒山拾得図は残念ながらどこかに出張中だった。
 宝物殿の奥へ廊下伝いに登って行くと「平和殿」があった(上の写真のオレンジ色の屋根の建物)。行事の時以外はガランとしたお堂。この題字を書いた人の末の弟が善光寺の名誉貫主だったこともある。この日の宿が、その末の弟の息子さんの経営なので、善光寺と御縁が深いんですかと話題にしてみたけど、そんな題字があることも知りませんでした、とのことだった。

 初夏や秋はバラがきれいな「バラクラ(バラ色の暮らし)イングリッシュガーデン」だが、この季節はほとんど花は咲いていない。わずかな例外はこのクリスマスローズ。

それから、ごく少数咲き残っていたのがコルチカム(イヌサフラン)。地面からじかに花が咲く。この時は珍しい花だなと思ったが、これは八重咲きで、一重のものは最近はしょっちゅう見かけるなと後で気づいた。

 名前は分からないが、きれいに枯れた花穂。ここまでの植物写真3枚はNEX-5N+Sigma 60mmレンズの作例。シャープな解像度がいつ見ても気持ちいい。木々もほとんど葉を落として見通しがいいので、庭園の構造がよくわかった。池にはゲンゴロウがいて、オールのような2本の脚でひらりひらりと軽快に泳いでいた。風もなくテラスの陽だまりでコーヒーが快適だった。
 前にもジオラマモード(CANON Powershot S110)で撮った白樺湖。小さな島に生える白樺の様子が、なんともリズミカルで楽しい。
 富士見茶屋から眺めた雪を頂いた八ヶ岳連峰。左から硫黄岳、横岳、赤岳(ど真ん中の立派なの)、阿弥陀岳、権現岳(デコボコ)、編笠山(名は体を表す)。他に富士山、甲斐駒、北岳、仙丈ヶ岳(北向きのカールが綺麗)もよく見えた。
この秋からの主力機、Levorg 1.6GT EyeSight。スタッドレスに履き替えて準備万端だが、まだ雪道は走っていない。EyeSightは最初いろいろ違和感があったが、この頃は楽しく使っている。最後の最後には車を止めてくれる(できるだけ減速してくれる)と思うと、安心感がある。

2014年11月26日水曜日

今年のアルペンルートはおわりかけ。シーズンは始まったばかり。

昨年は連休の宿が確認不足で取れてなかったので月末プランとなったが、結果的には雪崩を回避できたことになる。今年は宿がとれたので連休プラン。少雪気味ではあるが、滑るにはあまり不足のないコンディションとなった。一日早く入山したので、あまりシュプールのついていない山の姿を味わうことができた。お決まりのみくりが池越しの立山連峰だが、後で見返してみると、池まであと少しまで迫ったシュプールが面白い。
雷鳥荘を1時半発という遅い時間だったが、天気の良さにつられて、剱岳の姿を 見ようと別山乗越まで上がった。この日は視界が良く、不帰の険の向こうに妙高の火打山が見えていたのが印象的だった。天気は良くてもさすがに11月なので、登ってる時は暑いぐらいだったが、夕方になると気温が急降下して、雪は立派なクラスト(一度溶けかけた雪が再凍結してターンしにくい状態になること)になり、シーズン初めでもありかなりヘロヘロ・ボテボテの下りとなった。11月は3時半ぐらいには宿に帰っているのがいい。
連休に入ると大勢のスキーヤー・ボーダーがやってきて、山はシュプールだらけとなる。こういう写真をじっくり眺めると、シュプールの一つ一つにストーリーが読めるような気がしてくる。後から、あのときはこっちを滑ったほうが良かったかなどと考えるのも面白い。11月の彫りの深い山の姿をただ味わうのも良い。
上の写真の中央やや左よりのギザギザな尾根に沿って登っているところ。おおぜいの人が登ったらしく、トレースは踏み固められて圧雪路面のようだ。シールよりもスキーアイゼンの方がよく効くぐらい。上の写真で尾根の右の光のあたった斜面はどうみてもクラストしているので、左側の日の当たらない谷を滑った。期待通り、パウダーランを味わうことができた。ちょっとした工夫が大事。
帰り道で 見かけた黒部平駅の冬支度。こんなに大きい字にしなくてもと思うが、麻雀牌からの連想かな。立山での滞在中に、長野県神城断層地震があった。宿での体感では震度2ぐらいだった。今年の長野県は何度も自然災害にたたられ、知り合いの中にも色々な形で影響を被った人たちがいる。そろそろ災害も一段落してほしいものだ。

2014年8月15日金曜日

Sigmaのレンズ2点(+1)

NEX-5N + 60mm f2.8 DN (Black)
シグマから最近発売されたdp2 quattroというレンズ固定型デジタルカメラにはかなり惹かれた。前にdp2を持っていたが、独特の構造の受光素子が作り出す緻密な描写は素晴らしいものの、カメラとしての完成度が低く面倒になって手放してしまった。2世代後のquattroは相当優秀らしい。が、まだ決心もつきかねるので(新しいボディーを買うと操作を身につけるのがまた面倒で...)、とりあえず以前から懸案だった交換レンズを買ってみた(あまり関係ないとも言えるが)。19mm、30mm、60mmのラインアップの内、30mmは以前から愛用しているが、その後なんとなく保留となっていた。まず、60mmのブラックを買ってみたが、思いの外NEXによく似合う。

NEX-5N + 19mm f2.8 DN (Silver)
余勢を駆って19mmシルバーも入手。このデザインになって1年あまり経ってだいぶ安くなっているというのもある。先端に近いツルッとしたところがピントリングだが、なんだか間延びした感じにならないか危惧していたのだが、NEXのマウント基部が銀色のリングになっているせいか、黒も銀も良くおさまっている。これらのレンズは、カメラの電源が入っていないと、鏡胴の中でレンズの一部が前後に滑って動ける構造らしく、傾けるとカタンコトンと音をたてるのが著しく精密感を損なうのが難点なのだが、描写の良さに免じて使っているうちに、そんなもんだと思うようになった(と思う)。

肝心の使用感については、60mmはたいへん鮮鋭、19mmはまずまずというのが今の印象。60mmを手動フォーカシングすると、内部のステッピングの刻みが粗めなため、ピントの合う場所がぴょんぴょんと段階的に移動するのがピーキング表示をするとよく分かる。うるさくいうと、三脚を据えて精密にピントを合わせてという使い方には向かない、ということか。自分はもっぱら手持ちなのでいいのだが、手ぶれ補正機構が入っていないので、そっちの方がどれぐらい影響してくるか。

考えてみると、このラインアップの焦点距離は、35mm版換算では28mm、45mm、90mmとなり、往年のContax GのBiogon、Planar、Sonnarとぴったり一致する。同じレンズをmicro-4/3マウントにしたものもあるが、こちらは38mm、60mm、120mm相当となり望遠より過ぎになる。デザインも、特に擬古的なOlympusとは全く合わないものになっていることと併せて、やはりNEX系のEマウントをメインターゲットとして企画されたもののように思え、買わないと申し訳ない、というのが結論。

30mm f2.8 EX DN(旧型)
念のために、旧型の30mm f2.8 EX DNを取り出して比較してみた。フォーカスリングを回す感触は、こちらの方が少しガサガサしている。静止状態から動き始めるときの抵抗があり、ごく微量だけ回転させるのが難しい。もちろんこれはこの個体だけの問題かも知れない。これと比較すると新型の感触はすぐれている。ごくわずかの力をかけると静かに動き始め、そのまま滑らかに回って行く。webでは、これをオーディオ機器のつまみの感触に例えたものがあった。これはうまい例えだと思う。いっそ旧型を下取りに出して買い換えるか、とも思ったが、実際にはAFで使うことが多いのだからと、思いとどまった(今のところ→後日やっぱり買い替えてしまいました。黒は指紋が目立つので銀を選択。)。もう一つ気づいた違いは、旧型では写真のようにレンズ先端にスペックなどが白字で印刷してあるが、新型では同じような内容が彫り込んである(正確にはプラスチックなので、モールドしてある、のだろう)。白い塗料は流し込まれていない。どちらが上等なのか微妙だが、レンズ先端部に無用の反射を起こす可能性のある白い部分をつくらないという配慮をしたとすれば、後者の方が良い仕上げなのだろう。また旧型は「LENS MADE IN JAPAN」だが、新型は単に「MADE IN JAPAN」となっている。この書き分けに意味があるとすれば、旧型はガラス部分は日本製だが組み立てはどこか別の国、ということのように思える。あまりたくさん売れそうもないレンズに、発売1年ぐらいでこれだけの変更を加えるというのは、どんな事情があったのかは知らないが、面白いことだと思った。

2014年6月1日日曜日

蓮華岳(大沢右俣)

シーズンも終わりに近づくこの季節、アルペンルートの東の出発点・扇沢を起点とするものの、機械力は使わずにすべて人力であがる(安上がりな)針ノ木岳が人気ルートとなる。今回は針ノ木雪渓を途中で逸れて、蓮華岳から真北に落ちる蓮華大沢右俣を登って滑った。2010年にイトーさんと扇沢で待ち合わせたものの、イトーさんは太郎(犬の)を連れてこの谷を登っていってしまった。今回はそれに倣ってみたが思った以上に急なコースだった。

扇沢からは板を担いで歩き出す。篭川の右岸を通る道を辿って堰堤が近づく辺りでスキーをはく。大沢小屋のあたりで、左手から大きな谷が合流する。これが蓮華大沢。18日25日28日とwebで記録を見て、だんだん条件がわるくなっているが、なんとかなりそうかなと、こちらを登ることにする。左図全体が大沢で、針ノ木雪渓はこの写真の更に右側外にある。図の真ん中あたりで右に分かれるのが右俣。手前の広いところは平たく見えるが、ここで20度ぐらい。右俣に入ると30度、35度となり、稜線直下は40度ぐらいになる。
右俣にこれから取りかかるところでスキーアイゼンを取り付ける。雪がグサグサで、表面のデコボコも激しいのであまり効かない。
早めにスキーを担いで、アイゼン登高に切り替える。左図は、一つ前の図の奥のあたりで、雪の表面に点々と落石がある。周りのガケから落ちてくる訳だから、あまりのんびりしてはいられない。警戒が必要。また、滑るときにはスキーを痛める凶悪な敵なので、石の少ないところに目星をつけながら登る(探せば石のないところもありそう、という程度)。図ではスキーの先端の穴に紐を通してひきずっている。紐はカラビナでザックの肩紐にかける。これぐらいの長さが操作しやすい。肩の重荷が軽減され、風が強いときもあおられにくい、準備が楽という利点がある。逆に、雪がないところがあるとスキーを痛めるのと、トラバースが苦手なのが弱点。
だいぶ登って標高2400mぐらいのところで振り返ると、爺ヶ岳(右)がたおやかな曲線を描いている。真ん中にのぞいているのが鹿島槍。谷の側面のダケカンバが美しい。あと山頂まで400mほどだがここからが傾斜がきつくつらかった。雪がゆるく足の沈みが大きいので、少し傾斜が落ちたところで、シール+スキーアイゼンに戻して、稜線の登山道脇まで登り上げた。稜線の向こうで槍・穂高が迎えてくれる。今日は一番乗りみたいだ。
蓮華岳山頂にたどりついて一休みしていると、蝶がぴゅーっと飛んできて、首筋にとまって離れない。汗の水気と塩気に引かれている、といえば散文的だが、縁のある誰かのタマシイが会いに来てくれたのかもしれない、などと文学的なことも考える。(ウスバシロチョウというアゲハの仲間でした。ハネが半透明でとてもきれい。胴体は黄色い毛がたくさん生えていて寒さにも強そう。)山頂でiPhoneで撮ったパノラマをVRにしたものがこちら。(パノラマ写真だとイマイチ面白くないので、Pano2VRというソフトでこういう形にした。Flashを使っているのでiPad、iPhoneでは見られない。マウスかカーソルキーで移動。Shiftキーを押すと拡大、Controlキーで縮小。)風もなく展望の良い山頂でのんびりしながら、あの山この山と話がつきない。今日は黄砂が飛んでいるとのことで遠くはややかすんでいるが、まずまずの眺め。
蓮華岳は東西にはなだらかな山容だが南北は急峻だ。滑り始めるとあっというまに高度を落としていく。雪がグズグズなので気持ちよくはないが、ストップ雪というほどではない。次第に谷が狭まり、落石地帯に突入。右に左にと石の少ないところを選びながらチマチマ降りる。最後の方は石はなさそうだが、葉っぱや枝が落ちていて、スキーの下でガリッギリッと音を立てる。どれかは石だったかもしれない。恐れていたほどはスキーのソールにキズをつけずに滑り終えることができた(主観的評価)。
またスキーを担いで山道をぽくぽく歩いて降りる。見上げると柳の花が輝いている。こうして雪の世界と早春の緑の世界を何度も行き来できるのが、春の山スキーの楽しみのひとつである。扇沢から蓮華岳山頂まで標高差1400mだが、これは富士宮口から富士山頂までとほぼ同じ。標高が1000m低い分、空気が濃いので体は楽だが、大沢右俣を登ると富士山よりずっと急傾斜を味わえる。しかし甲斐犬太郎くんは良くがんばったな。(特に下り)

2014年5月20日火曜日

御嶽 東と北から

 木曽御嶽は私たちにはなじみ深い山だが、3000m級の独立峰だけに時期と天候次第で条件が大きく変わるので、いつ行くかの見定めが難しい山でもある。今回は、北西風の残る土曜日にまず東側の中ノ湯から稜線まで登り、風の弱まった日曜日にチャオスキー場から北端の継子岳に登った。狙いは当たって、二日とも天候、雪質ともに恵まれたスキーツアーができた。


来週末からは御岳ロープウェイが動くし、今週末から田の原までの道路が開通するので、中ノ湯(ロープウェイの丁度中間ぐらいの標高の登山口)から登る人は少ないだろう(よほどのヘソマガリ...)との予想通り、静かな山に自分たちだけのシュプールを刻むという贅沢ができた。写真は帰りがけに撮ったものだが、左端を拡大(写真をクリックして出る拡大写真を、もう一度右クリックして別のウインドウで表示させると、最大に出来ます)すると岩と岩の間を通るシュプールが見える。「カズヤシュート」と呼ばれるこのルンゼを滑った。(写真の右の方の、滑り台を横から見たような斜面が、開田高原からの登山道のあるところで、スキーには最高だそうなのでそのうち行ってみたいと、帰ってから記録を見て思った。)
稜線に上がると予想通り強烈な風に見舞われて早々に引き返したが、東斜面はほどよく暖められて絶好のザラメ雪。こういうときはまた、はっきりとシュプールの残るコンディションでもある。写真はカズヤシュートの下部(上天気寺本氏撮影)。軽く登り返しも交えて、滑りを堪能した。雲が激しく流れる様が美しかった。寺本氏の記録



日曜はチャオスキー場の営業最終日。主にボーダーで賑わうゲレンデを後に樹林に分け入る。営業終了の3時までに戻って下さいと言われたのが少々気ぜわしかった。そのせいか、最初に少々高度を稼ぎすぎてヤブコギもあったが、気持ちよくアイゼンの効く斜面を坦々と登り詰めて継子岳山頂に至る。今回楽しみだったのは、先日の北ノ俣岳から御嶽北端(継子岳)がよく見えたので、逆にこっちから見るとどんな風かなということだったが、写真の左の方に見られるように美しく裾野を引く北ノ俣岳の姿を見ることができた。その右の真っ白な三角は薬師岳と黒部五郎岳が重なった姿で、その右の雲のかかったあたりが笠岳。右端の大きいのはもちろん乗鞍岳だ。
滑りは「ぼくらのライン」と呼ばれる滑り台のようなルンゼを使った。ルンゼ内はやや緩みすぎぐらいで、ターンのたびにザッザッと湿った雪をはね飛ばしていく感じ。山頂直下の北東向き斜面を滑り出して、次第に左に寄っていったところが左の写真(上天気寺本氏撮影)。このあたりが堅すぎず柔らかすぎず一番快適な雪で、下に開田高原やマイアスキー場を見ながら、高度感あふれる滑りが楽しめた。左下のくぼみがルンゼの上端。寺本氏の記録


チャオの駐車場から継子岳を見上げた姿をカシミール3Dを使って今回のGPSトラックといっしょに合成し、更に実際の写真と重ね合わせたものが左図だ。赤が今回の登り、青が下り、緑は7年前に初めて登った時のGPSトラックで、このときは右のルンゼから登って、やはり「ぼくらのライン」を滑ったが、4月末だったので頂上直下は辛うじてエッジのかかるコンディションでかなり緊張した。継子岳は「日和田富士」とも呼ばれ、いくつも魅力的なルンゼを持っている(どれも急だが)。快適なスキーツアーには、風・雪のコンディションが緩み、チャオがまだ営業中という狭いタイムウインドウを狙う必要があるが、今回でだいぶ様子が分かったのでまた訪れたい。

2014年5月1日木曜日

薬師岳への長い道のり

 GW時期の中部山岳スキーツアー定番商品の一つに「飛越トンネルから入る太郎平小屋」というのがある。小屋がGW中食事付きで営業してくれるので、軽い荷物で深山(携帯も通じないような)に入ることができる。かつては双六小屋もGWに営業していたので、立山から槍ヶ岳に至る「日本のオートルート」もほとんど小屋泊まりで辿ることができ、太郎平小屋に泊まっていると夜遅くなってからでも、薬師岳を越えてきた人がゼイゼイとたどり着いたものだった。今回はまだ連休前のせいもあってか、そういう人もおらず、至って静かなヒュッテ暮らしを楽しめた。私たちとしてはこのところGWは立山・剱方面に凝っていたので、太郎平小屋は12年ぶり(3回目)となった。小屋泊まりの軽めの荷物ならまだそう苦労なく小屋に入れることが分かったが、以前の記録を見返すともっと速く歩いていたようで、ちょっとくやしかった。
寺地山から見た北ノ俣岳
小屋のHPで「トンネル入口から1.8kmのところに積雪」とあったので、だいぶ上まで車であがれると思っていたのに、ずっと手前で駐車車列を発見。(あとでHPを見直したら「部落から1.8kmに積雪」だった。)4.3km、1時間半以上も歩いて(半分ぐらいは乾燥路面)やっとトンネル入口に到着。ここから夏道沿いに上がったが、最近はトンネル向かって右の尾根を登る人も多いようだ。帰りはトレースに従ってここを滑ったが、こっちの方が傾斜が均一だ。あとはなじみのコースを坦坦と登る。前回は雪解けが早く、トンネルまで車で入れたけど、寺地山の稜線に近づくぐらいまで泥道を歩いた。苦労はするけど雪は多い方がやっぱり気分がいい。寺地山から北ノ俣岳の稜線を見上げると、北アルプスに来た実感がわく。最後に稜線に出るところはハイマツが出ているので、更に北に行くらしい先行者のトレースにつられて右手にトラバースしたが、すぐ下は北ノ俣川源頭の超急斜面なのでコワイ。ここは左に巻くべき。(懲りずに帰りにも同じ所を滑ってしまったが、朝なのでガリガリに凍っていて、更にコワかった。)稜線に出ると、一気に裏銀座方面の山々が見える。正面は大きな赤牛岳だが、これは未踏。それ以外の山々は12年の間にずいぶんおなじみになった。稜線の滑りはフィルムクラストで大変快適だった。YouTube
中央カールに滑り込む。背景は左が赤牛岳、右が水晶岳。
翌日は、黒部五郎方面を目指す人たちと別れて薬師岳に向かう。雪が多いのでほぼ直線状に登れる。薬師岳山荘は2010年リニューアルオープンとのことで真新しい建物になっている。避難小屋は、前回は三方の壁があって風よけになっていたが、今は奥の壁がなくなって氷の固まりになっている。「避難小屋の残骸」だ。山頂に至り、薬師如来にお礼をして、さてと見渡すと、すぐ北側の金作谷カールが急斜面だが良さそう。少し下から入った先行シュプールもあって、安定性も良さそう。お堂の裏から飛び込むと堅すぎず柔らかすぎず、絶妙のコンディションだった。大きな真っ白なカールの中では平衡感覚もスピード感もおかしくなる。前回も滑ったが大勢一緒だったので今回のような非日常感はなかった。南に登り返して、次は中央カールへ。更に大きなカールだ。底はクラスト状で鏡のようになっていて美しい。
中央カールとの境の尾根から見た東南稜カール
ここまで来たらと、さらに南へ登り返して、三つ目の東南稜カールへ。このカールは、上からでも底部の堆石(モレーン)が雪に埋もれきらずにはっきり見分けられる、カールらしいカールだった。中央部は雪庇が発達していて一部崩れているので、また南端のピークを目指して登り、東南稜に上がった。朝は晴れていたが、この辺りまで来ると雲行きがあやしくなったため、更に薬師沢源頭に滑り込む予定を端折って、東南稜をそのまま辿って主稜線に戻り、往路を帰った。
北ノ俣岳山頂から 左から笠岳、乗鞍岳、御嶽
3日目は高曇りながら遠望の効く天気となり、周囲の山々を改めて見直しながら北ノ俣岳に向かう。曇天のおかげで雷鳥たちも姿を見せ、縄張り宣言のグェーが良く聞こえる。山頂からは南方に笠岳、乗鞍岳、御嶽が並んで眺められ、ことに御嶽に陽が当たった姿が意外に近く美しかった。避難小屋までは朝の西向き斜面らしくバリバリに凍った雪面を、足を痺れさせながら下りる。どうもこの斜面は登りも下りも印象に残らない。ゲレンデのように、木もなく真っ平らなせいか。寺地山からの稜線は一部平坦なところやちょっとした登りもあるので、テレマークの、それもソフトな道具が適している。今季愛用靴のGarmont Excursionが快適だった。できればもう一泊して黒部源流も滑りたかったが、天気予報がわるいので1日端折った。それでも十分に充実した3日間を過ごすことができた。太郎平小屋の皆さんに大感謝!

2014年3月17日月曜日

三輪電気自動車i-Road

豊田市では、小型電気自動車の共同利用の社会実験「Ha:moライド」を昨秋から実施している。これまでは、1or2人乗りの4輪電気自動車と、電気アシスト自転車だけだったが、今度3輪電気自動車i-Road(紹介記事)が追加されることになった(4台だけだが)。コンピュータ制御でアクティブに適切なバンク角を取るため、コーナリングが楽しいという話を聞いていた。後輪操舵のため、かなり動きが独特なので90分の実地講習が必要とのことで、早速行ってみた。
運転席から他の2台を見る。なかなかかっこいい。前進・後進・ニュートラルはハンドル左のボタンで切り替える。
メーターはシンプル。頭の後ろに小さな窓はあるが、後方視界はほぼドアミラーのみ。
5分ほどの座学であらましを聞いた後、早速実車での説明。1人1台を使って(1回に定員3人)まずエコタウン構内で講師のi-Roadに3台が続いてカルガモのようにトレーン走行して感覚をつかむ。周回とか8の字とか。少し慣れると、車庫入れとか路肩駐車と発進とか細かい操作を練習。普通のクルマは後輪が内側に入る「内輪差」があるが、i-Roadは後輪が外にふくらむ「外輪差」があるので、前輪を曲がりたい方の角に寄せて曲がる。前輪を中心に円運動するような感覚。バックミンスター・フラー先生の「ダイマキシオンカー」と同様(そこにデザインの源流があるのかも)。その次はいよいよ公道走行。豊田の中心部から東に川を渡って豊田スタジアムを回って帰ってくるコースで、走り応えがあった。講師のi-Roadを先頭に4台連なって走るので結構人目を引く。
運転席からの眺め。左のトランシーバーで指示を聞く。ウインカーは左側。後ろに迫っているクラウンもお仲間で、途中で隊列が途切れた時の備え。おかげで後ろを気にせず走れる。
豊田スタジアム前。この手前で手頃なカーブをスピードを出して曲がれる場所もあって、コーナリングの感覚が楽しめる。時速45キロでリミッターがかかる。
Ha:moライドに登録するときにも講習があるのだが、これは数メートル走るだけの簡単なものだったので、ここまで本格的なものと思ってなかったので感心した。車体はプラスチックパネル製なので衝突安全性という意味ではバイク並みと思うべきか。左右の前輪が前後に移動してスピードに合わせて適切なバンク角を取る様子は、外から見ている方が面白い(参考動画)。 乗っているとあまりその辺りがよく分からないのでデモ走行を見る時間がちょっとあってもいいように思った。i-Roadの講習は予約制で、前もってHa:moライドの利用登録(要普通免許)をしておく必要がある。(登録・講習は無料)