2016年5月15日日曜日

四国の山(3) 石鎚山

役の行者の天狗名「法起坊」のご真言。
山で困ったときに効きそうです。
石鎚山は北側のロープウェイからアクセスした。前回は駐車場横の店で帰りにうどんを食べたなぁと思い出す。14年経ってもほとんど雰囲気は変わってない。ロープウェイ駅までの短い上り坂とか、上の駅から成就社までの林道歩きとか、便利すぎないところが良いのかも。
冬はスキー場のリフトになる観光リフトも乗ってみたが、成就社から外れたところに着くのであまり得はしない。楽しく滑れそうなスキー場だった。成就社の拝殿は正面にガラス窓があり、山頂を拝む形になる。よくできている。ここからはしばらく緩やかに下るが、これが帰りには結構つらい。あたりは主にブナ林。鮮やかな赤い木肌のヒメシャラが目を引く。
時折アケボノツツジも咲いている。試みの鎖と一の鎖は混んでいてパス。両者の間にある茶屋の「冷やしあめゆ」が美味しかった。だんだん近づく山頂部の岩稜が迫力的。
二の鎖、三の鎖を楽しむ。よくある鎖場とは全く違い、太い鉄棒の両端に靴のつま先が入るようなサイズの輪が溶接された50cmぐらいなものが一単位な「鎖」が何本もかけてある。所々にアブミ状の三角の輪も付いている。前も思ったが、鎖が邪魔で足の踏み場がない状態なので自然と鎖の輪っかやアブミがフットホールドになる。登り着いた山頂は「弥山」1972m。一休みしてから細い稜線をたどって最高峰の天狗岳1982m。ここまでは景色がないながら前回も来たが、この日はさらに南尖峰まで行ってみた。↓は天狗岩と南尖峰の間で撮影(左の「THETA」を押した先からは全画面表示にもできます)
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見下ろすとさらに下って土小屋方面に稜線を行く人がいた。地形図を見ると土小屋へのトラバース道の他に稜線通しの道もあるようだ。弥山に戻ってからの下りは巻き道を使ったが、空中に張り出した回廊や階段を多用した歩きやすい道だった。今回は成就社でうどんを食ってからロープウェイに乗った。四国に来るとついついうどん頻度が高くなる。今夜の宿は高知だが高速でずっと移動するのは味気ないので、徳島方向に少し行き過ぎてから、白地(四国の戦略的要地、司馬遼太郎著 「夏草の賦」によると、長宗我部元親が四国制圧のために先ず押さえたポイント)、小歩危、大歩危経由で吉野川上流の風情を楽しんだ。ラフティングガイドの看板が多かった。

四国の山(2) 西赤石山

銅滴。
精錬の途中で滴った銅が
固まったもの。縁起物として
飾られる。
琴平での宿が参道の近くだったので朝めし前に金毘羅さん参りをした。爽やかな空気、小鳥の鳴き声、人慣れたヤマガラが寄ってきたりも。今日は高速道路で新居浜まで移動して西赤石山。登山口は別子銅山の中心地だった東平(とうなる)だ。アクセス道路が狭いが、ビジーな時には誘導の人も立っていて、運転はそれほど大変ではない。元禄時代に開発が始まり、住友財閥の基礎となった別子銅山は、今では閉鎖されているが、元々山の向こう側(南側)にあった。鉱山からの搬出用トンネルや軌道の跡が今も残っている。
東平からのメイン登山道は柳谷コースを経て銅山越と呼ばれる峠を目指す。トンネルがなかった頃はこの峠を越えて鉱石を搬出した道だけにぶ厚い歴史が感じられる。
登るにつれてもう一つのお目当のアケボノツツジが斜面を鮮やかなピンク色に染めているのが見えてくる。









山頂手前から振り返る。禿げた山は西山。
その背後の遠い台形が石槌山。
西赤石山の山頂からは、北に新居浜の町と瀬戸内海、東に岩石累々の八巻山・東赤石山方面、西には遠く石鎚山も見える。











山頂から北方。岩だらけなのがカブト岩。
下りはカブト岩を経て直接東平に降りるルートをえらんだ。
カブト岩は西赤石山の北斜面に広がるアケボノツツジの定評あるビューポイント。普通のツツジは紫っぽいが、この花は本当に鮮やかなピンク色だ。↓はカブト岩の先端で撮影(左の「THETA」を押した先からは全画面表示にもできます)。
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中腹には上部軌道という搬出用の蒸気機関車が走った軌道跡があり、しばし廃線歩きも楽しめる。社宅跡という平地が所々にある。どんな生活があったのだろうか。当時の光景が表示されるVRメガネがあれば面白いだろうな。
下りついた東平では、「東洋のマチュピチュ」と言われる煉瓦造りの鉱石を貯蔵する建物を見たり、西赤石の連山を眺めて楽しんだ。

2016年5月13日金曜日

四国の山(1) 剣山

雪不足のシーズンだったのでGWもあまり期待できなさそうだなと、早々にあきらめて今年は観光+山歩き。四国は最近行ってないし、山も14年前に石槌山に登っただけ。しかもそのときは小雨、ガスの中で展望がほとんど効かなかった。昨年の東北巡業よりは距離も近いので気軽に車で往復と決めた。登る山は、ありがちだが剣山と、願わくば展望のある石鎚山。さてあと一つぐらい、というところでヤマケイの「中国・四国の山」というガイドブックを見ると、西赤石山というのがちょうどアケボノツツジの適期らしい。別子銅山の遺構観光もできるので予定に入れた。
左の丸いのが剣山、右の尖ったのが次郎笈
剣山へは貞光(つるぎ町)から南下。地図で見てもうねうねとした道だが、結構たいへんで、すれ違える区間の方が短いぐらい。特に途中の「一宇」あたりは道は狭い谷底。見上げる斜面には点々と人家が分散していて、なかなか見ない風景だった。そこを過ぎると第1〜第7ヘヤーピンカーブの看板を見ながらひたすらジグザグと高度を上げていく。今は営業していないスキー場を過ぎるとやっと剣山と、隣の山の次郎笈(じろうぎゅう)が見え始める。このペアは形が特徴的で、屋島や鷲羽山からも見分けられた。
可憐なコミヤマカタバミ
登山口の「見ノ越」までたどり着くと、整理のおじさんに「もういっぱいだから、大塚さんまで行って」と言われ、?と思いながらゆっくり奥祖谷方面に降りていくと、だいぶ行ったところに大塚製薬の山荘があってその近くに広い路肩駐車スペースがあった。登山口に戻るだけで結構たいへんだなと思ったが、実はショートカット登山道があって、しかもここが樹々や花の様子がすばらしかった。中途半端なところで路駐して車道を戻るのは損です。
右下の柵が御神水(おしきみず)
あるものは使おうと登山リフトに乗って終点の西島駅からまずは次郎笈方面にトラバース。石灰岩が多い斜面を行くと、剣山の名前の由来とも言われる大剣岩を背負った大剣(おおつるぎ)神社。御神水はくぼみに溜まった状態だったが、すこしトラバースを続けるとホースから流れているところもあった。日陰に霜柱があって驚く。
なだらかな斜面が美しい次郎笈は、剣山より25m低い1930m。
こちらは、次郎笈から見た剣山。ここから見るとあまり丸っこくなく、植生の具合もあって次郎笈と似ているなと思う。剣山の山頂部はかなり広く、ほとんど木道を歩くようになっている。下図は山頂の三角点で撮った360度パノラマ(左の「THETA」を押した先からは全画面表示にもできます)。標高が生まれ年と同じなので愛着が湧く。
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帰りのドライブが長いので一ノ森はパスしたが、両剣神社付近の道が未整備で通行止めだったので、行っても山頂に戻らないといけないところだった。深田久弥によると剣山と次郎笈の並んだ姿は一ノ森からが一番、だそうなので見てみたかったかも。貞光まで往路を戻って、うどんっぽい歯ごたえのある半田そうめんを食べたり、ロープウェイで箸蔵山に登ったり、満濃池を眺めたりしながら、琴平まで行って投宿した。